民泊事業による所得税について
今新型コロナウイルスの流行も過ぎ、海外からの旅行客が増えたことで再燃している『民泊』。
老後の資金が心配、保有している遊休資金を定期預金に預けているが金利があまり良くない等、
投資を始めたいけど、何から始めたら良いのか分らず、弊社のホームページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
そんな不安、疑問の中に投資で得たお金の税金についてもその一つにあるのではないでしょうか。
その中でも民泊の運営はおすすめできる資産運用の一つです。
それでは、今回は投資に係る所得の税金にまつわることをお伝えしたいと思います。
前提として会社員が民泊を副業として行う場合に焦点を当てたお話です。
まず、副業で確定申告が必要になるのは年間の所得が20万円を超えたときです。
(例)
利益50万円-必要経費30万円=所得20万円 確定申告は不要
利益50万円-必要経費25万円=所得25万円 確定申告が必要
民泊施設の規模や立地に拠っても一泊の金額に変動はありますが、弊社で取り扱っている新宿区の民泊施設は一か月でマンションタイプであれば40万円弱~60万円超の売り上げが出ています。戸建では120万円を超える月もあります。そこから家賃などの必要経費を差し引いたとしても年間で20万円など軽々超えてしまいます。
民泊運営を副業に考えている方はほぼ確実に確定申告が必要になると考えたほうがよいでしょう。
では確定申告で申告するためにはどんな民泊は何所得になるのでしょうか。そんな疑問にお答えします。
初めに、民泊の収入を副業で得た場合の所得を分類すると2パターンが考えられます。
事業所得
事業所得とは
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます(業務に係るものは雑所得になります)。
ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。(国税HPから引用)
雑所得
雑所得とは
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。(国税HPから引用)
具体的な判例
民泊というと不動産を貸し付けるから、不動産所得では?と思われがちですが、民泊はあくまで宿泊サービスを提供することで利益を得るというサービス業にあたりますので、不動産所得ではなく事業所得、もしくは雑所得となります。
ただ民泊の所得が何にあたるかは明確な規定があるわけではないので、不動産所得と判断する方もいらっしゃるようですが、今回は切り分けてお話します。
上記の定義に民泊で得た所得を当てはめると事業所得ではサービス業に、雑所得では副業に係る所得とどちらにも当てはまります。
では事業所得と雑所得、どちらで申告するべきか?
私の答えは事業所得です。
事業所得の方がいい理由は、税務法上の特例が使えることにあります。
具体的な特例は以下の4つです。
イ、給与所得等との損通算
ロ、青色事業専従者給与の特例(青色申告であることが条件)
ハ、繰延欠損金の適用(青色申告であることが条件)
二、青色申告特別控除(青色申告であることが条件)
一つずつ詳しく説明していきます。
事業所得に係る特例の具体例
イ、給与所得等との損通算
これは会社からもらっているお給料と、民泊で赤字になってしまった分を所得税額と相殺できるという規定です。
ロ、青色事業専従者給与の特例(青色申告であることが条件)
民泊の運営を配偶者などの生計を一にしている親族に手伝ってもらった場合にお礼にお金を渡した場合、これを必要経費の給料として計上できるという特例です。ただ、追加の条件としてその年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること、その年を通じて6か月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)その青色申告者の営む事業に専ら従事していることが必要になります。
ハ、繰延損失の適用(青色申告であることが条件)
残念なことに赤字が出てしまった場合、3年間赤字を繰り越せることができます。つまり前期が赤字100出た場合、今期が90黒字でも赤字分を引けるので今期は赤字10になりますので、所得税は払う必要がなくなります。
二、青色申告特別控除(青色申告であることが条件)
青色申告の方法を採っていて、確定申告期限までに必ず提出することを条件に55万円を所得から控除することができます。
また上記の条件に加えて、電子帳簿保存を行っている、若しくはその年分に確定申告を提出期限までにe-taxを利用して申告することで65万円を所得から控除できます。
それでは事業所得に係る特例の具体例として以下のケースに当てはめていきます。
【基本情報】
・会社員
・年収500万円
・民泊用に戸建を月25万円で賃貸借契約を結んでいる
追加条件①
・民泊運営を始めて2年目
・青色申告の方法で確定申告を行っている
今期の売り上げが500万でした。そこから必要経費を引いていきます。
・家賃300万円
・妻の運営に係る労働報酬60万円(特例ロ適用)
・清掃道具など消耗品費用10万円
必要経費は合計で370万円でした。
ここまでの所得は130万円ですが、青色申告を採用していて、申告期限までに提出をしたことにすると、追加で55万円の所得控除(特例二適用)が得られます。
500万円-(300万+60万+10万+55万)=75万円になります。
令和5年度現行の所得税率は5%なので、支払うべき所得税は3万7500円となります。
追加条件②-1
前年度が赤字だった場合(給与を超えない金額)
・前年度の民泊運営赤字が30万円
この場合は赤字の影響を引き継ぐことができるので(特例ハ適用)
75万円-30万円=45万円が所得になります。
また、仮に赤字が100万だった場合、75万円-100万円=-25万円で、赤字を相殺しきれなかった場合はその年を含めた3年間で赤字を繰り越すことができます。
さらに電子帳簿保存も行っていれば控除が55万から65万に増えます。(特例二適用)
赤字が30万の条件を引き継いだ計算をすると、
売上500万-(必要経費300万+60万+10万+青色申告控除65万+前期赤字30万)=所得35万×税率5%=所得税1万7500円
追加条件②-2
前年度が赤字だった場合(給与を超えた金額)
・前年度の民泊運営赤字が600万円
前年度の赤字が給与所得の500万を超えた場合は、赤字を繰り越すだけでなく、給与所得と相殺することができます。(特例ロ適用)
給与所得が500万の人が赤字600万出してしまった場合は、本業、副業合わせた所得がゼロになり所得税は発生しません。
おまけに100万の赤字を翌年に繰り越すことができます。
今回、特例により事業所得から控除された金額は(条件①、条件②-1)
・妻への給料60万円
・青色申告特別控除65万円(電子帳簿保存してる場合)
・赤字の繰越30万円
合計155万円も所得から控除されます。
これは雑所得では得られない特例ですので、事業所得を選択するべきであるという結論に至ります。
また、事業所得として認められるには300万を超える副業でなければならないという規定がありましたが、改正により所得が低い副業でも記帳、帳簿書類の保存をしていればよいので、青色申告を採用している時点で事業所得と認められるので、別途特別な手続きなどは不要となります。
まとめ
・副業を始めるにあたって選択すべき所得分類は『事業所得』
・申告は青色申告を採用すべき
理由は所得から控除できる特例が多くあるため、支払う税金が大幅に抑えられるためです。最初に申し上げた民泊を資産運用に勧める理由は、株取引やFXは事業所得には該当せず、事業所得に係る特例は使えず儲かっても税金が多くかかってしまいます。
対して民泊運営であれば、特例が使えるため節税しながらお金を増やすことができます。
ただ民泊の運営を始めるためにはどうすればいいのか?行政への申請も難しそう、運営開始後も売り上げが上がるのか?集客するにも方法がわからないなどハードルが高いように思われるかもしれません。
そんなお悩みは全て弊社にお任せいただければ解決します。
民泊の申請からゲスト対応、集客、近隣住民対応まで弊社が請け負います。
民泊運営のパートナーとしてご検討いただければ幸いです。