竪穴区画処理

竪穴区画処理

コロナ禍が治りつつある2024年、近年では「民泊やホテル・旅館業」が投資対象の一つとして再び注目を集めています。投資として優秀なカテゴリーでありますが、建物であるため火災等による被害に対してしっかりと対策する必要がございます。火災が発生した際に第一に確保するのがゲストや近隣の方、関係者の安全であり、今回は安全措置の一つである竪穴区画についてお伝えさせて頂きます。

まず(1)竪穴区画処理とは?耐火設備の緩和?

次に(2)具体的にどのような工事が必要なの?実例をもとにご案内させて頂きます。

最後に(3)なるべく費用をかけずに竪穴区画問題を解決したい方へ

上記の3点について実例を参考にお伝えしたいと思います。

また、これからお話しするのは既存建築物の戸建が前提となります。

竪穴区画処理とは?耐火設備の緩和?

はじめに建築構造に関して少しお話しさせて頂きます。

ホテル・旅館業の場合は建築法上、特殊建築物(建築基準法第二条二項)に該当するため、建物の主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段など)が耐火構造であることが必要です。耐火構造とは壁や床などが一定の耐火性能つまり火災が終了するまでの間、建築物の倒壊、および延焼を防止するために必要な性能を備えた構造を言います。主要構造部は建物階層ごとに、決められた耐火時間を確保できるような構造であることなど細かい条件があります。従来では、ホテル・旅館業に用途変更した建物は例外なく耐火構造基準を満たす必要があり、既存建築物を、先ほど述べた通りの耐火建築物へ適合させるには抜根的な工事が必要になり膨大な費用と時間がかかります。

ここまでを読むと防災対策がかなりハードル高く、なかなか運営を始められないのではと感じられる方もいらっしゃると思います。しかし2019年に小規模建築物への耐火建築物要求が緩和され、延べ面積が200㎡未満の戸建住宅等であれば、旅館・ホテル営業を行う場合でも耐火構造にする必要がなくなりました。要するに安全措置を設定する代わりに主要構造部が耐火構造でない3階建て戸建て建築物等も旅館・ホテルとして使用することができるようになりました。その安全措置というのが竪穴区画処理です。

竪穴区画とは火災予防の一つで、建物の上下の動線を区切って煙や炎の侵入を最小限に抑える仕掛けです。竪穴は、建物を垂直の方向に見たときの建物の下階から上階に向かって火や煙の伝わるスペースをいい、竪穴区画は、火災が起きたとき被害を受けづらくするための防火上の仕掛けのことです。規制緩和することで民泊やホテル・旅館を活性化させ空き家問題を解消しようとするのが目的です。

具体的にどのような工事が必要なの?

主要構造を抜根的に変更する工事に比べ、はるかに時間と費用を削減できる竪穴区画を紹介させて頂きました。では、実際どのぐらいかかるものなのかデモハウスでシミュレーションしてみます。(費用は弊社で実際に施工した工事を参考にしています。)

竪穴区画処理工事といっても大きく2つに分ける事ができます。

[1]ドアを取り付け工事

1-a(竪穴区画処理前)

1つ目はドアを階段の入り口に取り付ける方法です。図1-aをご覧ください。図中心近くにある階段とリビングが吹き抜けています。これでは一階で火災が発生した場合、煙が登ってしまい上層階にも煙が充満し、避難も遅れてしまい危険を及ぼします。このような事態を防ぐためにはリビングと階段を分け独立させる必要があります。このケースでの竪穴区画処理は図1-bとなります。

1-b(竪穴区画処理後)

これによりリビングと階段が独立し竪穴区画処理が完了しました。

ドアを階段に設置するというとイメージがつかなく、安全面など大丈夫かなど疑問を持たれる方もいらっしゃると思いますが、実際にこの方法で消防の立会検査も実施し受理されています。こちらの工事費用は約20万前後となります。

[2」上下階段を結合(廊下を作成)する工事

2-a(竪穴区画処理前)

もう1つの方法が壁を作り廊下を作成する方法です。図2-aも先ほどの図面のようにお部屋と階段が壁もなく結合されています。また今回のケースでは、昇り階段と降り階段が螺旋階段のように一体になっておらず、部屋を経由して昇降しなければなりません。このままではもし2階で火災が発生した場合3階から避難する場合は火災現場を通らないといけなくなってしまいます。このような事態を防ぐために区画して独立させる必要があります(図2-b参照)。

2-b(竪穴区画処理後)

今回のケースでは各階段に扉をつけるだけでは部屋を通ることは変わり無いので、廊下を作り上下階段を結合させる処理をします。既存建築物に廊下を作るのはなかなか珍しいケースですが、これも消防の立会検査済みの案件です。

建物の大きさや壁の材質等など様々な条件によって金額は変動しますが、こちらの工事費用は約40万前後となります。

(3)なるべく費用をかけずに竪穴区画問題を解決したい方へ

2件のケースをご紹介させて頂きました。主要構造変更工事に比べ大幅な費用削減ができる竪穴区画処理ですが、決してお手頃な金額ではないですし運営を始める前から大きな出費はなるべく抑えたいと誰もが思われるのではないでしょうか。

弊社に運営代行をお任せ頂ければ最大無料でこの竪穴区画処理を解決する事ができます。もちろん消防署や保健所にも事前に相談を重ね立入検査も通過し適合通知書等も取得できるような方法に基づき対応させて頂きます。

弊社は消防署や保健所などの複雑な申請に特化した従業員も所属しておりますので、ご興味を持たれた方やご不明点ございましたら、お気軽にお問い合わせいただけたらと思います。

ご精読ありがとうございました。

この記事を書いた人

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